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〜コミュニケ/サブカル/音楽/会社人生などを語るをしてみんとして〜

今夜すべてのバーで

今夜すべてのバーで

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

らもさんは自分の地元の作家というだけでなくて小中高とその影がつきまとい続けた作家である。中高時代のどうやってこの先続いていくんだろうか?という不安に対して常にめちゃめちゃな解答をくれた人だと思う。

TVでのらもさんの気持ち悪さったらありゃしなかった。

というのはおいていおいて、この今夜すべてのバーでは一番作家の良さが出た本なのではないだろうか?ガダラの豚みたいな長編はちょっと。。って感じだったし、エッセーもいいけどそれだけだと物足りない。そういった感想の僕のような読者にとってドンピシャだったように思う。賞とは無縁な作家が受賞した作品です。

登場人物の一人ひとりの方のはずれ形はいかにも関西人的であるし、中心たるらもさんの外れっぷりを超えていたりする。らもさんのぶっ飛びようを超えるとりまく人々たち。本当に切ないし楽しいしリズミカルな文体。自分のリズムにぴったりと当てはまってすぐに読めてしまう。「お父さんのバックドロップ」と同じくらいに。

この本の中ではアル中を脱せたというハッピーな落ちで終わるけれど、結局実際にのらもさんはアル中で死んでしまった。伝えられる限りは喜劇的な死に方で。。そのエピソードを含めて読むとこの本の持つ魅力はさらなるものとなるし、予想されたととおりにアル中で死んでしまった中島らもという人は、本当は死なないで関西圏内のどこかでくつろいでいそうだ。